目次
あらすじ
人生の幕が下りた後、“源氏”は何も分からず、静かに丘を目指して歩き出す。
そこは、死後に旅をする場所――「想い出が丘」。
共に旅するのは、人形“ムク”と、頼れる相棒の“ケルベロス”。
不思議でちょっと笑えるふたり(?)との旅を通して、源氏は自分の過去の後悔と向き合っていく。
果たして彼は旅を無事終えられる事が出来るのか?
🌼この作品はこんな人におすすめ
- 大切な人との別れに、そっと心を寄せたい方
- 切ないのに笑える、温かい死後の物語を読みたい方
- 不思議で楽しい旅の話が読みたい方
これは、想いを抱えたまま死んでしまった人たちの、ちょっぴり不思議で、優しい旅の物語。
最後に彼が選んだ「未来」まで、ぜひ見届けてください。
サンプルページ(プロローグ)
プロローグ
俺は、白坂源氏(しらさかげんじ)。71歳。
妻は60歳まではいたけど、「残りの人生を自分のために使いたい」と言い残し、俺の定年後に出て行った。
今流行りの熟年離婚ってやつだね。
息子たちは大人になり、それぞれ家庭を持った。
俺の家には寄りつきもしない。たまに顔を出すが、すぐ帰ってしまう。
ま、嫁さんの方が大事だよな。
別にいいけどさ……。
家族のために死に物狂いで働いたのに……最後はこんなもんか。
俺の人生って……何だったんだろうな?
……そう考えていたさっき、俺は死んだ。
何が原因だったのか、思い出せない。いや、思い出せる気がしない。
目を開けても、閉じても、何も変わらない。
暗闇。それしかない。
冷たい風も、床の感触も、何も感じない。
音がない。匂いもない。
俺の体は……ちゃんと、ここにあるのか?
「……誰かいるのか?」
続きはキンドルでお楽しみください
📖想い出が丘
