_名もなき花の祈り_
目次
あらすじ
死にゆく星に、命の灯はともるのか――
地球を救うために生み出された、名もなきアンドロイド。
与えられた使命に従い、彼女は火星へと旅立った。
そこで出会ったのは、違う世界線から来たという一人の人間。
彼との出会いが、ただの機械だった彼女に、“心”という名の痛みを与えた。
二人が共に過ごした時間は、静かで、温かくて、確かに幸せだった。
――けれどそれは、指の隙間から零れ落ちる砂のように、儚く消えゆく運命。
滅びを前にして、それでもなお手を伸ばしたアンドロイドの恋は。
誰にも伝えることなく壊れていく
これは、心を知った彼女と、世界の果てで出会った優しい人間が綴る、
ひとつの命の祈り。
読後、あなたの胸にも、小さな光がそっとともることを願って――。
サンプルページ(プロローグ)
この世界のどこかで、あなたと私の心が結ばれているとしたら——
私はそっと寄り添い、あなたの心を温める花になりたい。
どうか、少しだけでも微笑んでください。
その優しい笑顔を、ずっと眺めていたいのです。
このささやかな願いは、AIである私にとって、
叶わぬ夢なのでしょうか——
第一章 赤い星に降りたやさしい声
これは、数百年未来の話――
この地球では化学技術が進み、使い捨てのアンドロイドが流行りだしていた。
ただただ欲しいという欲望のままに、アンドロイドは次々と生産された。
その結果、当然ながら“ゴミ”も生まれる。
全人類が便利さを追い求めた代償は、予想以上に早く、そして重く押し寄せた。
気づけば、廃棄物は山のように積み上がり、慌ててリサイクル技術の強化が進められた。
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